• 2012年06月18日

文教経済常任委員会で、初の「請願者による説明」。でも…

6月18日(月)の文教経済常任委員会で、柏崎市議会としては初めての「請願者による説明」が行われました。

「請願権」は、憲法(16条)で保障された国民の基本的権利の一つです。

請願は、住民の代表である議会に、請願を通して住民の意思を反映させようとするものであり、また議会の意思によってその請願の趣旨の実現に努めさせる意味があります。

請願の提出には、当該議会の議員が紹介議員にならなくてはいけません。

通常、請願書を出そうとする市民は、その請願の趣旨を十分に理解し、また採択に向けて努力してくれるであろうと思われる議員を探し、紹介議員になってくれるよう依頼するのが一般的なようです。

さて今回の定例議会に、

「少人数学級の早期実現に係る意見書の採択を求める請願」http://www.city.kashiwazaki.niigata.jp/html/gikai/homepage2/gian/PDF/2012/2406/2012sei003.pdf

「義務教育費国庫負担制度拡充に係る意見書の採択を求める請願」http://www.city.kashiwazaki.niigata.jp/html/gikai/homepage2/gian/PDF/2012/2406/2012sei004.pdf

提出され、私の所属する文教経済常任委員会に審査が付託されました。

一方で、柏崎市議会は議会改革の取り組みを進めています。

通常は請願者になり代わり、紹介議員が請願の趣旨を説明しますが、請願者に自ら説明したいという意思がある場合には、請願者から説明していただくという仕組みを導入することにしました。

当日は、請願を提出した新潟県教職員組合柏崎刈羽支部から、専従の書記長が来られました。請願者に直接、私たち委員が質問できる場面が設定されたことになります。

私は次のような質問をさせていただきました。

・  標準定数法に基づく少人数学級は小学1年生のみだが、現実には小学2年生についても「加配」の形で少人数学級が実現している。このことをどう評価するか?

・  少人数学級はいわゆる35人と言われているが、35人よりも更に少ない「30人」学級を求める根拠は?

・  小学2年生から中学3年生までの少人数学級を求めているが、財政等の理由で達成できていない現状を考えれば、例えば「小学4年生までの中学年までの達成を優先して目指す」などの、優先順位をつけた請願にしていくことが有効ではないか?

委員の質問に、請願説明者は、真摯にお答えいただいたと感じています。

さて質疑が終わり、討論・採決の場面。両請願とも、私を含む賛成者多数で可決しました。

「少人数学級を求める請願」には、一人の委員から賛成討論と、別の一人の委員が反対討論を、また「義務教育の国庫負担拡充の請願」には、3人の委員が賛成討論を行い、一人の委員が反対討論を行いました。

討論とは、なぜその議案(請願)に自分は賛成あるいは反対するのかを述べるものです。

討論の後に採決が行われますから、その議員が、賛成か反対か、どちらの判断をしたのかは、採決結果で分かります。

しかし、なぜそのような判断をしたかは、討論しなければわからないことになりますから、議員はなるべく討論を行って自分の判断の理由を述べる必要があります。

ということで、討論の内容はその議員の考えですから、討論内容と採決の両方に当該議員が責任を持てばよいことなのですが…

やや理解に苦しむ内容の討論であったのでご紹介しておきたいと思います。

反対の討論を行った委員は、教員数を増やすということはこれまで教員になれなかった人が教員になるということで質の低下が懸念されること、また現職教員の質の向上を図る必要があると考えている自分としては、いかに質の向上を図るかということが示されない中で、人数だけ増やすことには賛同できないとのことでした。

日本最大の労働組合である日本労働組合総連合会(連合)は、「政策・制度要求と提言」を取りまとめ公表しています。

その2012~2013年度版の教育政策の分野では、文部科学省の調査結果を引用して、「精神疾患で休職している公立校教員は17年連続で増加している」と指摘しています。

具体的提言では、「教職員配置の適正化や、教員免許制度の適切な運用など、指導体制の強化を通じて教育の質の向上をはかる」とし、「国・地方自治体は、教員が子どもと向き合う時間の確保、きめ細かい教育を実施するために、少人数学級制や複数担任制を推進する。まずは35人学級の対象学年の拡大を進め、必要な教職員数の確保を行う」と提言しているのです。

労働者の働く環境を整備していきたいという考え方に立つのであれば、必要な人員の確保に努めることと、それによってその仕事に求められていることや期待されていることの実現を目指すという立場に立つべきではないのか…などと思った請願審査でした。