• 2020年04月28日

雇用調整助成金の使い勝手

新型コロナウイルス感染症の大きな課題である「雇用の維持」の切り札として雇用調整助成金の特例措置が行われている。

4月13日に地元ハローワークに伺い、状況を伺ったところ「まだ特例措置がされたばかりですから。(申請は)これからでしょう。」という答え。

雇用保険の被保険者以外の労働者も対象や、申請書類の大幅な簡素化、が言われているが、実際の使い勝手はどうなのだろう?

市内事業者の皆さんの声を聞いてみた。

 

真っ先に言われたのが、「相談会で社会保険労務士に相談したが、お宅は対象にならないでしょうね」と言われたとの宿泊事業者の方。

きっちりとした日頃の労務管理と書類の整備が前提の制度なので、仕事柄繁忙期と閑散期の差が激しい業態ではそもそもの申請の前提をクリアすることは難しいと。

雇用調整助成金が雇用維持の切り札のように喧伝されているが、実情は切り札とは言えないと言われた。

 

同様の声は他にもあるため、社会保険労務士さんに課題を確認。

雇用調整助成金制度は、そもそも条件が厳しい。

過去に解雇を行っていないとか、労働保険料を滞納していないことなどが条件であるため、入り口でふるい落とされるケースも多数なのでは。

また当然のことながら、まず休業手当を支給した上で、申請が通れば後から助成金が交付されるわけだから、休業手当を支払う力があることが前提。

社労士の立場から言っても、申請の仕事は煩雑な割に、相手事業者のことを考えると大きな報酬は求められない。

などなど。

 

他の事業者さんの声の中には、

過去に申請したことがあり、実績があると容易なようだ。

しかし経費をかけたくないので、社労士に依頼せず、自前で行っている。

オンラインで申請書類を作ることができるように改善されているようだが、結局提出はハローワークに出向かなければならず、めんどう。

 

雇用調整助成金には、「休業」の他に「教育訓練」もある。

教育訓練には加算金(中小企業2,400円)もあり、良い部分もあるが、大変なのが事前計画書の提出と変更が生じた時の計画変更届だ。

現在、日々の仕事の内容を睨みながら、誰を教育訓練に充てるかなど判断しているが、わずか一人でも変更する場合は計画変更届を出さなければならない。

これも「事後で良い」という形にしてほしい。

 

などの声が寄せられている。

新聞報道でも、支給決定件数がなかなか上がってこないようだが、国による補助率を上げるだけでなく、現場で何がネックになっているのかをしっかりと見てほしい。