• 2020年04月02日

柏崎市使用済核燃料税条例案上程について②

使用済核燃料のサイト内保管について、法定外目的税として税を課すことにした柏崎市の「使用済核燃料税」創設については①で述べた。

 

今般、柏崎市議会には、現行の税条例を廃止して、新たに法定外普通税として累進課税を盛り込んだ使用済核燃料税条例案が上程されている。

3月31日に櫻井市長による提案理由の説明が行われたため、柏崎市議会を傍聴してきた。

 

◇使用済核燃料に係る累進課税が必要である理由とは

市長が最も強調したのは「柏崎市に使用済核燃料の長期保管は認めないことを意思表示すること」。

そして「核燃料サイクルの推進に寄与したい」というものである。

 

つまり「本来保管するべきところではないところに保管されている使用済核燃料に対し、税率を上乗せして賦課することにより、搬出は促進される」と言う。

そのため、まず基本部分の税率を1㎏につき620円(現行の480円から140円引き上げ)とした上で累進課税分として1㎏につき、

1年目:50円

2年目:100円

3年目:150円

4年目:200円

5年目:250円(5年を上限とする)とするとしている。

 

◇果たして搬出促進につながるのか

「本来保管するべきところではないところに保管されている使用済核燃料」が問題と言うのは全くその通りであり、それが長期にわたっていることは更に大きな問題である。

 

そして、納税義務者である原子炉設置者にとって税率が安すぎる(サイト内に保管しておく方が負担が少ない、あるいは容易)ことにより、搬出が進まないのであれば、長く保管するほど税負担が高まる仕組みは有効なのだろう。

 

しかし現実として長期保管状態となっている理由は、運び出す先が受け入れる状況になっていない、というものだ。

 

では「現状のままで仕方ない」ということかと言えば決してそうではない。

従って、市長が述べる「柏崎市に使用済核燃料の長期保管は認めないことを意思表示する」ことは重要と考える。

であるなら核燃料サイクルが回らない状況下で、この条例が促進に寄与する内容となっているのかどうかが重要だと考える。

 

条例案の第6条で税率を謳っており、同2項において累進課税部分に関して謳っている。

 

◇「出することが可能となったことについて両者が合意した」後では累進課税の意味があるか

条例案第6条2項では「前項規定のほか、経年累進課税分~中略~として、~中略~速やかに市長と原子炉設置者が協議し、発電用原子炉から取り出した使用済核燃料を使用済燃料貯蔵施設等へ搬出することが可能となったことについて両者が合意した年の翌年以後の賦課期日において~中略~搬出されるまでの間、重量1キログラムにつき、次の額を加算する」としている。

 

(下の条例案参照)

 

つまり経年累進課税を賦課するのは、運び出せることが可能だと両者が確認した後であり、この確認がなされなければ累進課税の対象にはならないということだ。

確かに、一定の保管期間後に自動的に累進課税が開始されるのでは、あまりに一方的であり、搬出可能な先の事情を勘案していないとの批判を受けるかもしれない。

現状では運び出せないから長期保管になっているのであり、上程されている条例案ではこれまでの状況を変えるものにはなっていないと考える。

 

今回新たに経年累進課税という考え方を盛り込み、しかもその理由が「柏崎市に使用済核燃料を長期保管することは認めない」という意思表明だとすれば、

一定の保管期間後に累進課税が始まるような仕組みでなければ、表明している考え方を具現化するものとは言えないのではないだろうか。

 

使用済核燃料税条例

柏崎市議会における審議は、4月15日と17日に本会議が開かれ報告・質疑が行われ、21日に討論・採決が行われる。