• 2015年11月28日

子ども虐待防止学会が新潟で開催される

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11月20日(金)~21日(土)の二日間、「日本子ども虐待防止学会 第21回学術

集会にいがた大会」が朱鷺メッセで開催されました。

地元開催ということで、私もはじめて参加。

いつもご助言などいただいている新潟大学の齋藤教授が大会長をおつとめでいられ

たり、今春から新潟市議会議員をおつとめの石附幸子さんがシンポジウムを企画

されたりということもあっての参加です。

 

子どもの虐待は、統計数値上、増加していますが、私たちの暮らしの中では感じに

くいのも事実ではないでしょうか。しかし社会の中で、親子ともに貧困であると

いう家庭が増加し、また親自身も様々な難しい背景を持っていることで子どもに

虐待が連鎖している事例や、それによって子どもたちにどのような深刻な影響が出

ているかなどを多くの研究者や現場で働く職種の皆さんが報告されました。

 

大会初日の特別講演をされた総合研究大学院大学副学長 長谷川 眞理子氏の講演

は興味深いものでした。演題は「親の配偶戦略と子どもの虐待」です。

長谷川氏は進化生物学の諸理論をもとに、ヒトに見られる子殺しや児童虐待につい

て論じる、として以下のような講演をされました。

 

・子どもの虐待は6歳以下が年齢的にリスクが大きい

・それは育児に大きエネルギーを費やさなければならないからである

・「誰が虐待しているのか」と言えば実の父母が半数であり、母と新しいパート

ナーというケースも多い

・6歳以下の子どもがいるシングルの家庭は全国で1%にものぼる

・虐待者は一般集団に比較して若い = つまり「将来がある」ということである

・「この育児はうまくいかない」と思うと、「育児はしない」というスイッチが

入りやすい

・虐待の残酷さの度合いでは、実母がパートナーとともに虐待を行うと残酷になり

やすい

・パートナーとの間に子どもをもうけ、子育てできるというオプションがあると、

今の子育てへのスイッチが入らない

 

・虐待を引き起こした時の児童側の行動としては、以下のようなものがある

0~1歳頃 泣き止まない ミルクを飲まない

2~6歳頃 かわいくない なつかない 言うことをきかない 愛情を見せない

・動物と人間を比較してみた時、なぜ人間の子はこんなふうにギャーギャーと泣く

んだろうと思ってしまう。野生動物はこんなふうに泣いたら肉食動物を引き寄せ

てしまう

・人間の子が泣くのは ⇒ 気にしてくれる、世話をしてくれる人を捜しているの

ではないか。人の子でも、泣いていると何か気になる。助けてやりたくなる。

 

・人間の脳は1500ccという大きな脳である

・この脳が十分育ってからでは産道を通り抜けることはできないので、未熟な状態

で生まれてくる。従って、3歳までは胎児と同様に脳は発達を続ける

・小児期に脳を育てていくということは大変であり、だから、共同で育てると

いう共同繁殖になったのである。

・人間は母親のみで子育てをすることが不可能な共同繁殖の動物なのである

 

長谷川氏をはじめ、子どもおかれている切なさを想像する機会となりました。

多くの講師が言われたのが「想像できること」の重要さでした。