• 2015年03月27日

新年度予算議会終わる~池田ちか子最後の議会~

 

 

P1030973 (2)

25日(水)、新年度予算を審査した議会が終了しました。

一般会計予算を賛成多数で可決した他、他の予算・議案も可決成立しました。

私にとっては最後の議会です。感慨ひとしおでした。

一般会計予算採決にあたり、会派みらいを代表して討論を行いました。

以下、新年度予算に対する考え方です。

 

◎大都市重視路線だった国が打ち出した「地方再生」には注視が必要だが…

平成27年度は、第四次総合計画後期基本計画の仕上げ時期に当たり、次期総合

計画策定着手の年。これと時期を同じくして、国が進める「地方創生」に従って

柏崎版の創生総合戦略を策定する年に当たる。

そもそも「地方創生」は、日本創生会議による「消滅自治体リスト」の公表と「ス

トップ少子化・地方元気戦略」の提言だったわけだが、人口減少については、

国立社会保障・人口問題研究所等の推計によって、これまで繰り返し警鐘が鳴らさ

れてきた。「消滅自治体」という余りにも強いインパクトにより、目を覚まさせら

れたといった感がある。

 

政府の政策はこれまで、必ずしも地方重視政策ではなかった。

どちらかと言えば「大都市重視・成長戦略」つまり「大都市圏が成長することで、

いずれは地方にもその恩恵が及ぶ」といった路線であった。

その政府が「地方重視」を打ち出したことについては、今後注意深く動向を見て

いく必要がある。

 

しかし地方では現実に、少子化・高齢化・世帯の単身化・人口減少が進行して

おり、そのことによる様々な問題が発生している。

それらに対する対策を早急に講じる必要に迫られている。

しかし対症療法的政策だけでなく、人口減少に歯止めをかけ、若者の定住を促して

いく必要がある。

 

そうした意味においては、政府が地方創生を打ち出した今、これに呼応して

効果的な政策を推進していく必要がある。

このような視点で、新年度予算を見ていきたい。

 

◎第一の視点は「若者の定住対策」

若者の定住には雇用の場が必要であることを、多くの市民が指摘している。

産業振興と雇用政策を一体として進めていかなければならない。

「雇用促進協議会として実施する市内企業PRイベント」に期待したい。

近年、市内企業の皆さんによる求人数が多くなっており、努力を続けていただいて

いることに感謝したい。

若者の地元志向が高まっているとは言え、求人に対し求職が少ない状況にある。

市内企業の良さを知ってもらう企業ツアーなどのPRイベントは、市内企業につい

て理解を深める機会となると期待したい。

新潟県が作成した「にいがたUターンでかなえる10のこと」によれば、新潟県に

おける生涯収入は、東京における生涯収入の8割程度であるものの、食費を中心と

した生活費等が低く抑えられるため収支に大きな差はないとしている。

その他にも、持ち家率・余暇時間・通勤時間等々、大都市圏と比較し豊かな生活が

可能だとしている。

就職先を選択する際に、企業の情報に併せ柏崎暮らしの優位性について認識して

もらえるような工夫を加えることが必要だ。

 

「明日の柏崎づくり事業」は、原子力発電所に依存しないまちづくりを目指すとし

ながら、事業から派生する具体的取り組みが見えてこなかった。27年度にようや

く「異業種連携」で新たな産業づくりを目指すという具体的事業へと移行して

いくということであるので、取り組みに期待したい。

 

公共事業はこれまで、景気対策・雇用対策として政治的に活用されてきた。

しかし2000年以降の財政再建の流れの中で歳出削減が断行され、公共事業費も

大きく削減された。雇用確保のための代替施策が十分示されていない中で、地方が

受けた影響は非常に大きいと言える。

建設事業者の協力無くしては冬期間の道路除雪は不可能で、雇用という側面と市民

生活の安全という側面の両面で影響が出ていると言わざるを得ない。

「建設業への入職促進・人材育成支援事業」は現状十分な効果を上げていないとの

ことであるが、引き続き事業を継続していく必要がある。

 

これらの他に、UIターン住宅助成金や若年者トライアル雇用奨励金、奨学金償還

補助事業など定住を促す事業があるが、平成27年度は更に柏崎版定住対策を検討

していくことになる。

それらの施策情報は、対象者に確実に届けることが必要であることを強調しておき

たい。また各施策をわかりやすく「定住施策パッケージ」にして、柏崎市としての

熱意も込めて発信してほしい。

 

第二の視点は「子育ての安心・医療介護の安心」

「安心して子どもを産み、育てることができる」「高齢者も、障害者も、住み慣れ

た地域で暮らすことができる地域づくり」を推進しなければならない。

特に結婚・出産・子育てに対する支援は地方創生の柱であり、若年層の期待は

大きい。出産・子育ての課題は「経済的負担」が上位であることは各種調査で

明らかである。

「子ども・子育て支援新制度」移行に併せて、保育料算定は国の基準を基に

利用者負担の軽減を図ることは評価されるが、この分野は更に施策を充実

すべき分野である。

 

 

子どもは将来を担う存在である。少子社会にあるからこそ、子どもたち

への豊かな教育環境を整えることが求められる。教育長は「柏崎で育って

よかった」という教育を目指すと繰り返し述べておられる。

そのためには保護者・地域・学校が一体となって塾議して、

グランドデザインを共有することが必要である。

 

「放課後児童クラブの6年生までの受け入れ拡充」については、

これまで委員会としても多くの質疑があった。環境整備については今後、

学校の空き教室を活用するという方針であるが、児童ならびに指導員の

安全と健全な児童クラブの運営をめざしていただきたい。

 

医療従事者の不足が市民生活に与える影響は大きく、「看護師就職支援事業」が

効果を上げていることをを評価したい。またこれを介護従事者確保に拡げた

「介護職員就職支援事業」の新設も評価するものである。

団塊の世代の高齢化により、医療・福祉の人材不足は深刻化すると言われており、

今後も計画的な人材確保に努めていただきたい。

 

第三の視点は、「安心して暮らすことができるまち」

安心して暮らすことができるという要素には、災害に対する備えや雪対策、

生活交通など様々なものがある。

 

柏崎市において重要な課題が原子力防災対策である。

福島原子力発電所の事故発生を私たち人類が経験してしまった今、柏崎市にとって

原子力防災は重要課題だ。

昨年7月の原子力防災計画の修正と広域避難計画公表時に課題としていた

安定ヨウ素剤配布について、即時避難区域の住民の皆さんへは事前配布を行う予定

であることが示されたが、多くの課題が残されている。

住民への情報伝達をどのように行うのか、避難要配慮者の皆さんの避難をどうする

のか、スクリーニングの体制をどう整えるのか等、市民の命を守ることができる

レベルにどう高めるかが重要だ。

 

 

平成27年度は、人口減少に悩む各自治体が知恵を絞り計画づくりに取り組む年と

なる。

柏崎市が市民に、そしてこれから市民になることを考える人々にとって、魅力ある

自治体になっていくことに期待する。