- 2014年02月05日
2014年度地方財政セミナー
毎年自治労が開催している地方財政セミナーが2月3日、4日東京で開催されました。
このセミナーは、地方財政計画が決定する今の時期に、翌年度の地方財政計画の中身やそれに伴う地方交付税の見込み、また税制の内容などについて学ぶ内容です。
地方財政計画とは、財源が豊かな自治体でもそうでない自治体でも、どの自治体においても標準的な行政水準を保障するため、地方における歳出の全体額を見積もるとともに、それに対する地方税など地方独自の歳入や国庫支出金などの歳入を見積もり、なおも不足する財源を地方に交付する地方交付税の額についても算出したその年の地方財政に係る計画です。
2014年度の地方財政計画の規模は、3年ぶりに拡大し83兆3,700億円。前年度比プラス1兆4,600億円となりました。
これは歳入面においては法人関係税・地方消費税の引き上げなどによる税収増などによるもので、歳出面では投資的経費・社会保障費の増大のためとのことでした。
地方交付税は前年度比マイナス1,769億円となりましたが、これは地方税が増収となり、つまり地方が自前で一般財源である税収を増やせたために、一般財源の補てんである地方交付税が減額になったということです。
さて、今回のセミナーでは複数の講師が2014年度税制の中身について取り上げました。
◆法人事業税の一部復元
2008年10月から暫定措置として行われていた、法人事業税の所得割分・約6割を国税として徴収し、人口従業員数によって国が都道府県に按分するという「地方特別法人税」。
今回の消費税引き上げに伴って、(10月1日以降)「地方特別法人税」の規模を三分の一縮小し、法人事業税が復元することとしました。
この復元によって都道府県の増収額は6,728億円となり、地方税制改正では最も影響額として大きいことになると言います。
◆地方法人税の創設
都道府県の税源である法人事業税が復元されたかわりに、市町村の税源である法人住民税の税率は引き下げられます。
すなわち法人住民税の一部を国税化し、交付税特別会計に入れ地方交付税の原資とするというのです。地方法人税の新設です。
講師によれば、この税制の措置のもとになった総務省設置の「地方法人課税のあり方等に関する検討会」の報告書では、法人住民税が法人事業税以上に地域的偏在の問題(東京など大都市圏に企業が多く立地していること)が大きいため地方交付税の財源に、また偏在性が小さい消費税の交付財源分を地方消費税に振り替えて、結果的に法人住民税と消費税の税源交換を行うとしていて、この考え方に矛盾と問題があるとしていました。(この点はちょっと難しいですね)
別の講師は、そもそも地方交付税の原資は国税5税である筈が、いくら偏在性が高いからと言って、地方税である法人住民税の一部を国税化することは交付税のあり方そのものに関わると懸念を示しました。
国税で賄うはずの地方交付税について、「多く税収を上げている自治体から少ない自治体に回し、自分たち同士で支えあえばいいじゃないか」というような水平間の「とられたり、もらったり」という仕組みは、地方同士の対立を生みかねないと問題提起しました。