- 2013年12月10日
原子力発電所の過酷事故と防災計画について~12月定例会議一般質問~
柏崎刈羽原子力発電所6・7号機の適合審査が始まっています。
東京電力は新規制基準に関する適合審査を申請するに当たり、本来工事を行う前に行うべき、地元自治体(新潟県・柏崎市・刈羽村)との安全協定に基づく「事前了解」をやっと取り付けました。
事前了解の対象はフィルターベント設備。原発は過酷事故を起こさないことになっていましたが、福島原発事故で事故が現実のものとなり、新規制基準で設置が求められている施設です。
フィルターベント設備は、原子炉格納容器の損傷を防ぐた目的で中の圧力を下げるために内部のガスを外に放出する際、放射性物質を少なくするための装置です。
原子力規制委員会は、この装置を使ってベントを行った時に、フィルターベント設備の性能は放射性物質が100テラベクレルになれば良いとしています。
仮に100テラベクレル=100兆ベクレルの放射性物質が放出されるベントが行われた時に、原発周辺にいる人間にはどのような影響があるのでしょうか?
また事故が進行して、もうベントを行わなければならない、といった状況になるまでに住民避難は完了できるのでしょうか?
12月定例会議の一般質問では、この問題を取り上げました。(12月9日)
非常に厳しい内容とされてりる新規制基準。
しかしその基準が、福島事故前の旧指針である「原子炉立地審査指針」に対応する規定を含んでいないことを問題視する専門家が多くいます。
なぜ新規制基準は立地評価を取り入れなかったのでしょうか?
旧指針の立地審査指針は、重大事故やおよそ起こるとは考えられないような事故が起こった時にも、原発敷地境界で全身被ばく量が250ミリシーベルト以下になることを求めていました。
また最近では、この値を100ミリシーベルト以下で運用することが検討されていたのです。
仮にこの指針を踏襲すると、福島で発生したような事故が起きた時、この基準をクリアできないと考えたからではないかと言われています。
規制委員会が設定した目標値の100テラベクレルとはセシウム137のみで、フィルターを通過してしまう希ガスを含めると、敷地境界での被ばく量は非常に高いものになると指摘されています。
9月25日、新潟県庁で会談した新潟県知事と東京電力広瀬社長は、「住民が心配しているのは、どれくらい被ばくするかだ。100%放出した場合の被ばく量を試算していないのか?」と知事に迫られ、260ミリシーベルトという数字を認めています。
仮に重大な事故が発生してしまい、刻々と事態が進んでいく中で、住民避難が完了していない中でどうしてもベントを行わなくてはならないという事態はないと言えるのでしょうか?
私は、「そういう事態にはならない」ということはないと思っています。
この問題は矢部忠夫議員も取り上げています。ぜひ一般質問のインターネット中継録画をご覧下さい。