- 2013年11月25日
明日の柏崎づくり事業 エネルギーと産業・私たちの暮らし~日本、そして柏崎を考える
久々の更新です。
昨年度から始まっている「明日の柏崎づくり事業」の今年度第二弾、「エネルギーと産業・私たちの暮らし~日本、そして柏崎を考える」が、11月24日(日)に開催されました。
11月18日に開催された「池上彰講演会」は、会場となったアルフォーレはほぼ満席で、何でも500人位の応募を断ったとのことなのに、24日のシンポジウムは産文文化ホールはガラガラでした。
(ちょっと言い過ぎかな。空席がかなり目立ちました)
原発賛成反対の立場を超えて、これからの柏崎がどうあるべきか、市民の話し合い・議論を促す…という目的で行っている事業ですが、現実には中々関心を高めるのは難しいようです。
シンポジウムは大きく分けて二つの内容で、第一部は常葉大学の山本教授、九州大学の吉岡教授、そして幸せ経済社会研究所の枝廣所長の三人による鼎談(ていだん・三人による座談会)で、第二部は再生可能エネルギーに関わっている5人の方々による事例紹介とディスカッションでした。
■常葉大学経営学部教授 山本隆三 氏のお話
・日本の経済的状況は、名目成長率の低下、GDPに対する国の負債の割合が非常に高い、国際競争力の低下などの現状がある
・幸せはお金だけではないと言うかもしれないが、一人当たりのGDPと幸福度には相関関係があることは事実で、またGDPと電力消費の間にも相関関係がある
・エネルギーの調達は、パイプラインで結ばれるEUなどとは異なる
・電力供給の安全保障という意味では予備率が4%程度しかない(関西電力の例)
・原子力発電所の運転が停止していることに伴い火力発電による電力量が増加しており、日本の化石燃料輸入額は25兆円に迫っている
・また、再生可能エネルギーについては、導入に伴う標準家庭の負担額は年間3万円にも上り、国民からはこれ以上の負担は困難と言う声も出ている
■九州大学教授 吉岡 斉 氏のお話
・福島原発事故被害は、原発廃炉処理要員の健康、除染計画の迷走、農畜産業など地域経済の破壊、処理コストの国民負担などの観点で見ると、いずれも大変深刻である
・日本におけるエネルギー消費を振り返ると、1990年代までは確かに右肩あがりであった
・しかし2005年~2009年の間に1割程度減となり、2010年に5%増加したものの、東日本大震災で増加分は帳消しとなった
・この後も人口減により減少する可能性が高く、脱原発は難題ではない。自然減でカバーできるのだ
・一方、再生可能エネルギーについても辛口に言わせてもらえば、優遇されなくても最終的には独り立ちできなければならない
この鼎談は、いわゆる「原発積極的」の立場として山本先生、「原発消極的」立場として吉岡先生にそれぞれの主張を述べていただいたもののようです。
私の感想としては、話を聞いた人の元々の原発に対しての考え方によって、どちらの先生の話がより説得力を感じるかにつながるだろうな、と思いました。
自分が信じる方向と違う内容の話を聞いても、即座にはその考えは覆らないだろうと想像するのです。
では、考えを異にする内容の話を聞くことは無意味なのか?そうではないと思います。人は、自分の考えと違う主張も積極的に聞いてみよう・見てみようとは中々思わないから。
お二人の主張をお聞きし、なるほどと思う部分と、ちょっと違うかなと思う部分もありました。
吉岡氏が紹介されていた、原子力市民委員会による意見交換会が今週土曜日30日に新潟市で開催されるとのことなので、参加してみようと思っています。