- 2013年09月17日
9月定例会議 その3~高柳町の集会施設などの譲与議案~
二つの委員会に、高柳町の集会施設など建物の譲与議案審査が付託されました。
対象施設は20の集会施設と、旧交流の館「じろべぇ」、高柳農産集出荷施設、山中格納庫、田代格納庫です。高柳地区集会施設等の財産譲与一覧
旧高柳町(まち)では、町がそれぞれの建物を整備し、各町内・地域が集会施設等として住民が活用していました。
旧柏崎市では、町内会の集会施設は町内会が整備し、当然町内の財産ですから、同じ市内に異なった位置づけの町内会施設があったことになります。
平成17年の市町合併にあたり、このことだけでなく、さまざまな行政制度について合併後どのように統一するのか、あるいは当面しないのかなどが検討されました。
ダブルスタンダードを徐々に改正してきた柏崎市としては、この課題についても早期に解決したかったのでしょう。
市の財産である建物(集会施設等)を町内会などに譲り渡すには、さまざまな課題があります。
その一つが相手方が、法人格を取得していて団体名で不動産登記ができる状態であるかどうかです。
これまで町内会や自治会などは、法的には通常「権利能力なき社団」と位置付けられて、団体名義では不動産登記等ができませんでした。
しかし実際には、町内会などで不動産等の資産を持っている場合も多く、町内会の会長名義で不動産の登記等を行っている事例もありました。
こうした個人名義の登記は、名義の変更や相続などの問題を生じる可能性があります。
平成3年4月に地方自治法の一部が改正され、町内会や自治会が手続きを行って法人格を取得できる規定が盛り込まれたのです。これが「認可地縁団体」です。
高柳町の各町内会は認可地縁団体として法人化し、財産譲与の準備を整えました。
次に大きな問題は、建物の維持管理や建物解体義務です。
高柳町は豪雪地域で、建物のいたみも生じます。その修繕や普段の維持経費など、各町内会が予算建てしなければなりません。
高齢化や人口の減少は高柳に限った問題ではありませんが、その進行度合いはやはり高柳地域のスピードが速いと言えるでしょう。
譲与にあたり町内会と市が交わす契約書には、
・所有権移転登記は町内会が行い、その経費は町内会の負担とする
・建物は「地域住民の生活文化の向上及び福祉の増進を図るため地区集会施設として使わなければならない(指定用途と言う)
・町内会は所有権移転の日から10年間(建物によっては13年や15年)、指定された用途で使わなければならない(この期間を指定期間と言う)
・これらの約束に反した場合には市に対し違約金を支払わなければならない
・指定期間終了後は、町内会により建物を解体撤去しなければならない
などを規定しています。
審査にあたった委員会の委員からは、「10年後、町内として残っていない町内もあるのではないか」
「残ったわずかな世帯で解体撤去するなどということができるのか」
「契約書に謳った義務について、各町内会からはよくご理解いただいているのか」などについて質疑が集中しました。
高柳町事務所によれば、このことについては十分な説明を行ったこと、
譲与を希望しない町内はその集会施設を市が解体するなどについて重ねて説明を行ったそうです。
その結果、譲与を希望しないとした町内は居谷町内のみであり、それ以外の町内会は譲与を希望したと委員会に説明しました。
集会施設の「二重基準」は、確かに是正する必要があります。
しかし、高柳町の住民の方々にしてみれば、「建てた時の約束と違う!」というのが偽らざる気持ちではないでしょうか。
また高柳町事務所の職員は元高柳町職員の方も多いわけですが、職員の立場からしても地域住民に対してこのことを説明し了解してもらうという仕事は切ない仕事だったにちがいありません。
今回の議案は、市町合併の課題の大きさを改めて理解するものとなりました。