- 2012年11月22日
第8回全国原子力発電所立地議会サミット開催される
11月20日~21日、東京品川のプリンスホテルを会場に、第8回全国原子力発電所立地議会サミットが開催されました。
このサミットは平成9年に発足。「原子力発電所が立地していることにより派生する様々な問題について、立地自治体議会が調査研究・協議、あるいは提言すること」を目的に、二年に一度開催されています。
今年度は東日本の議会が実行委員会を組織。柏崎市議会議長が実行委員長となりました。
掲げたテーマは「フクシマから何を学ぶか~エネルギーとしての原子力発電~」
第一分科会「福島原発事故の検証と被災自治体の課題」
第二分科会「原子力発電所の防災・安全対策と再稼働」
第三分科会「エネルギー政策の方向と諸課題」
第四分科会「高経年化対策と核燃料サイクル」
第五分科会「今後の原子力政策と地域振興のあり方」 の5つの分科会を実施。
また全体会では、経済産業省による「革新的エネルギー・環境戦略」について講演、そして福島県富岡町長の遠藤勝也氏による講演をお聞きしました。
今回のサミットで、非常に驚いたことがありました。それは「革新的エネルギー・環境戦略」です。 20120914senryaku (首相官邸資料)
同戦略は、「30年代に原発稼働ゼロ」と新聞等にたびたび報道されています。また、「30年代に稼働ゼロ」としながら、「核燃料サイクルは中長期的に推進」と謳っているのは矛盾しているなどとも報道されています。
サミット基調講演の経済産業省資源エネルギー庁の審議官の話の中で驚いたのは次の点です。
第一に、戦略の2ページ第一の柱の「安全性が確認された原発は、重要電源として活用する」という点を強調。安全性の確認は規制委員会であり、これが安全性を確認すれば、その上で稼働させるかどうかの判断はしないという点。
第二に、戦略の4ページ下段の「2030年代に原発稼働ゼロを可能とするよう、あらゆる政策資源を投入する」とあるのは、「2030年代原発稼働ゼロ」が目標ではなく、「あらゆる政策資源を投入する」ことを言っているのだという点。
第三に、戦略4ページ「40年運転制限を厳格に適用する」となっているのに対して、その期間満了に際して、一回限り20年を超えない範囲での運転延長について改めてしっかりと述べたこと。
私が参加した第四分科会でも述べましたが、これらを合わせて考えると、「あらゆる政策資源を投入」してもなお、2030年代に稼働ゼロではない」可能性があるし、原発は重要電源なのだから、そのような場合には積極的に使っていくと述べているようにも思われます。そうなると、稼働40年に制限としながら、これは厳格ではないのではないかとさえ思えます。
私のこの意見に対し、原発稼働40年を迎えた時の安全性の評価は経済産業省が行うものではなく、電力会社の経営や政治といったことを全く加味せず規制委員会が客観的に科学的に判断するのであるから、その心配はないとしました。
しかしいずれにしても、国民は今回の説明内容通りに理解していりでしょうか?
なんとしても2030年代に稼働ゼロを目指す強く決意し、そのように日本の政府は考え方を改めたのだと理解しているのではないでしょうか。
今回の話は、「新聞等が2030年代原発稼働ゼロなどと報道しているために、みんなそう信じているが、本当の意味はこうなんですよ」と言っているように聞こえました。
もしそうであるならば、このエネ環の意味するところをすべて詳らかにし、国民の声を聞くべきだし、少なくとも原発立地自治体に出向き、今回行ったような話を立地自治体の市民に行っていくべきだと思います。
立地議会サミットは、立地自治体の議会・議員が原発に対して様々な考え方を持っているために、一致したものを導き出すのが非常に困難です。
福島県からの参加議員が「明日は我が身なのですよ」と声を詰まらせて訴えておられましたが、このフクシマのつらさや提言を真から共有することもなかなか困難だなと感じたサミットでもありました。