- 2012年06月30日
まほろばの里農学校同窓会
6月16日(土)に、山形県高畠町で「まほろばの里農学校」の同窓会が開催されました。
高畠町で有機農業に取り組む農家が「たかはた共生塾」を組織し、20年以上前から「まほろばの里農学校」を開催しています。
たかはた共生塾は、命と環境も最も大切に考える農業者が集い、自らはそのような農業を実践するとともに、農学校の参加者にも伝え続けてきました。
農学校参加者は、農家にファームステイし、農家の指導を受けながら農業を体験します。たかはた共生塾のメンバーの姿勢や考え方に共感した参加者の中には、高畠に移り住んで農業を始める者も少なくありません。
私は8年前の、第13回農学校に参加しました。2泊三日の農作業を行いながら、ホスト農家の話に感銘を受けたのを覚えています。
今年は農学校も21回を数え、これを機に同窓生にも声をかけ同窓会を開催することに。議会会期中だったので、参加しようかどうか迷いましたが、また共生塾の人たちに元気をもらいたいと参加してきました。
17:30に高畠駅に降り立った私を、約束通り「ゆうきの里さんさん」のSさんが迎えに来て下さいました。Sさんの運転する車で会場の和田民族公民館に向かう道中、8年前の農学校では誰の家に受け入れてもらったかという話に。
8年前、私が農学校に参加した時のホスト農家は、関東方面から高畠に移り住まれて農業と民宿を営んでおられるご夫婦と、自宅に隣接した援農の人たちの宿泊所をお持ちの有機農業に取り組まれている農家でした。Sさんと話をしているうちに、だんだんその時のことが蘇ります。
どちらの農家さんもとても印象的でしたが、今でもその語り口を思い出すのは、Mさんです。当時、高畠町で行われていた農薬の空中散布に対して、反対の旗を持って泣きながら抗議したというお話は、農業に対する真剣な姿勢として深く心に刻まれました。
そのMさんと再会することができたのです!
19:00開会の同窓会会場には、農学校参加者、同窓生、そして地元の「たかはた共生塾」の方々が集まりました。ごちそうは、高畠産の野菜とお米。そして地元酒蔵のお酒が並びました。たかはた共生塾の前塾長で顧問の星さんのあいさつの後、開会。
私のテーブルは、Mさんのご主人と、高畠産のお米(玄米)を食べ、またその良さを広めているという東京のNPOの方々でした。
ていねいに米をつくる高畠の人たちと、どのようにその米や野菜を作っているのかをよく理解して食べる消費地の人たちがいて、農業が成り立っているんだなと、二人の会話を聞いて強く感じました。
テーブルを回ると、農業についての様々な話が。現在の共生塾の人たちが最も憂い、怒りを感じているのが福島原発事故のことでした。
農業という最も環境に向き合っていく産業は、環境に大きなダメージを与えた原発事故と関係なしには済まされないということです。
そんな会話の中でMさんとも久々に話ができました。やっぱりMさんらしいいなと思ったのは、東日本大震災後のMさんの行動です。
大震災発生後、いても立ってもいられないと思ったMさんは、援農の人を受け入れる宿舎に避難者を受け入れようと即座に考えたそうです。
宿舎に足りないテレビをまずは買いに行き、町役場に受入れの意思があることを伝えました。しかし、なかなかどの避難者を受け入れるかということが決まらないことにしびれを切らし、収穫した野菜を山ほど持って被災地へ。
そこで、TVなどにあまり取り上げられない仮設住宅にたまたま行き着いて、大変喜ばれたと嬉しそうに話をして下さいました。今でもその人たちと交流が続いているようです。Mさんらしいな、とつくづく思いました。
原発事故のこと、今の農業のこと、町政のこと、高畠の若者のこと、などなど。いろんな逆境にも、あるいは淡々とした毎日にも、それでいいのかと問い直しながら生きているたかはた共生塾の人たちに触れ、喝を入れられたような旅でした。