- 2012年05月20日
新潟県自治研センターが被災地視察を実施
新潟県自治研究センターは、新潟県における地方自治、行財政、まちづくりに関する総合的な調査研究を行う機関です。
自治体関係者、学識経験者、県民の交流により、地域に根ざした自治体の政策づくりを促進することを目指しています。
自治研センターは昨年3月、公益法人に。
公益法人としての活動に力を入れていくということで、初めての視察事業を実施。
5月16日~18日、この視察事業に参加し、福島県、宮城県の被災地にうかがいました。
福島県農業総合センター
福島県は東日本大震災と福島第一原発の事故後、農産物の放射能モニタリング検査を続けています。
ゲルマニウム半導体検出器10台を設置し、センター内に持ち込まれた福島県内の農林水産物を検査。
2011年3月から2012年3月までに検査した食品件数は19,971件に上ります。
このうち、暫定規制値を超えた食品検体は681件で、平均割合は3.4%という結果になりました。
2011年3月一か月間の暫定基準値超過率は23.9%でしたが、同年8月には1.9%となり、以降、1%台が続いています。
暫定基準値超の値がコンスタントに出ているのが魚介類。
また、キノコやタケノコのように、畑ではなく山で採取したものも、基準値超のものが出る傾向にあるといいます。
また農業総合センターは、放射性物質の除去や低減技術の開発、放射性物質の吸収抑制技術の開発にも取り組んできました。
例として、果実の加工による低減の傾向では、シロップ煮加工を行った結果、放射性セシウムがシロップに移行することを確認。
これとは逆の原理で、アンポ柿は柿から水分が抜け出て濃縮するため、放射性セシウム濃度は高まったとのことでした。
アンポ柿は福島県伊達市の特産でもありますが、このような事情から一時生産をストップさせたということです。
センターの担当者は、放射性物質降下後に新たに作付けされた野菜で規制値超はないこと、福島市で暫定規制値を超えた玄米がでたことから実施した調査(23,247戸)では、100ベクレル/㎏以下の農家が97.5%だったとしました。
仙台市の震災廃棄物処理
先般、石巻市の震災がれきを視察しした際、仙台市のがれき処理は予定よりも早く処理が進んでいるようだという話をうかがっていました。
仙台市は、宮城県が各自治体と連携して実施するがれき処理の枠組みに入らず独自の処理を実施。
発生量135万トンのがれきを「発災から1年以内の撤去、3年以内の処理完了」を目指して取り組んでいます。
その結果、順調に処理が進み余力が生じていることから、石巻ブロックの木屑を中心に可燃物を最大10万トン受け入れると表明しています。
仙台市は東部沿岸地区内に3か所の処理場を設置。
当初から発生現場での粗分別を呼びかけていて、場内に搬入する時には、可燃物・不燃物・資源物の三種類に分別された状態で運び込まれます。
この後場内で10種類に分別しているため、リサイクル率は60%を見込んでいるとのことでした。
仙台市のがれき処理のスピードが速いのは、現場での粗分別の実施があるようです。
私たちが視察した井戸搬入場の仮設焼却炉は、日立造船製で処理能力90t/日。
この仮設焼却炉は、賃貸期間が2011年10月1日から2014年3月31日までの賃貸借です。
率直な感想として、仙台市ほどの自治体だからこそ、このような取り組みができるんだなと感じました。
もう一つ、被災地が元気になるための飲食店が集まった「ホット横町」にも行ってきました。
石巻と言えばこれでしょ、と石巻焼きそばを注文。被災地の復興を祈りながらいただいてきました。