• 2012年04月20日

災害廃棄物広域処理に関する視察②

4月17日、私たちは宮城県の災害廃棄物処理石巻ブロックを目指しました。
 
災害廃棄物処理には、一次処理と二次処理があります。
○一次処理: 被災地から一次仮置き場への運搬、建物解体、一次仮置き場での
 減容化、一次仮置き場でのリサイクルや売却

○二次処理:一次仮置き場から二次仮置き場への運搬、二次仮置き場での中間

 処分、最終処分  などです。

宮城県は、これらの作業を市町村と役割分担して実施しています。

この中で、二次処理の「二次仮置き場での中間処分」と「最終処分」は、県が実施

します。また一次処理の、一次仮置き場までの運搬や建物解体・一次仮置き場での

減容化は市町村が行っています。

それ以外の作業は、各市町村の事情や考えに基づいて、県と市町村が分担している

とのことでした。

宮城県において処理しなければならない廃棄物は、災害廃棄物1819万4千トンと、津

波堆積物1,160万トン。 それらの廃棄物を4つのブロック(処理区を合わせると

7つ)で処理しようとしています。

石巻ブロック処理施設を背景に

このブロックの中で、最も廃棄物が多いのが石巻ブロック。

石巻ブロックの県全体に占める割合は、災害廃棄物で47%、津波堆積物は

33%になるとのことでした。

昨年10月~今年3月までを第一段階とした、二次仮置き場での処理が

終了していて、実績は、県内リサイクル32万3千トン、県外への搬出

が39万8千トン。

現在は第二段階に入っていて、木くずや金属くず、アスファルトがらなど、

がれきの素材によって、リサイクル施設に搬出、セメント工場へ搬出、

発電施設に搬出、管理型・安定型処分場に搬出…などの処理を行っていくと

のことでした。

JVの看板を掲げたブロック内の事務所

散乱したがれきの撤去率は100%に達しているとは言うものの、

解体が必要な家屋の数が膨大であることや、集団移転などの調整に

時間がかかることから、解体が終了するのは来年度いっぱいかかる

見通しであるとのこと。

高く積まれた廃棄物の山

非常に悩ましいのが、地形的に平地が少なく、一次仮置き場の容量不足。

高く積まざるを得ず、がれきの内部で発酵が起こり、しばしば自然発火が

発生しているとのことでした。

宮城県は、膨大な廃棄物の処理を効率よく進めるために、処理業務を

プロポーザル方式で発注。石巻ブロックについては、鹿島・清水・西松

などの特定共同体が中間処理を行っています。

また仮設焼却炉(ストーカ炉3基、ロータリーキルン炉2基)を設置して、

ブロック内での焼却を開始しようとしています。

宮城県内に建設予定の仮設焼却炉は26基。できる限り県内処理をしていき

たいということが、これらの計画からもうかがい知ることができると思いました。

このような県内処理を進めてもなお、期限内に処分ができないものについて、

広域処理に協力してほしいとしているのです。県の計画によれば、石巻ブロック

の廃棄物の中で、県内処理は391万4千トン、294万トンは県外処理をお願い

したいと見込んでいます。

議員からは、市民が心配する、がれき放射性物質の測定についてなどの質問

が出ました。説明した県職員によれば、日常は空間線量の測定と、1か月に

一度がれきからサンプリングを行って線量を測定しているとのことでした。

さて、翌18日は女川町の処理施設にうかがいました。ここは東京都がいち早く

がれき受け入れを表明して、現在もがれきが東京都に向かって搬出されている

場所です。

石巻での放射線量測定に関する説明は、不安が払しょくされるものではありません

でしたが、女川の処理施設は、この点について参考になるものでした。

女川町処理施設での全体説明

女川町の処理施設では、広域処理として受け入れてくれている東京都の意向

に十二分に沿う形で処理が進められていました。

最も驚いたのが、東京都環境整備公社の職員が施設に常駐して、東京都に

向かって搬出される災害廃棄物の安全性をチェックしていることです。

処理施設内では、放射能測定が3回行われていました。

①空間線量率、②搬出物の遮蔽線量率、③搬出コンテナの両側面

空間線量率 です。搬出時、コンテナの両側面を測定した時に、線量が

高い場合には搬出をさせないとのことでした。

 

コンテナが搬出される時にも測定

また東京に到着した廃棄物を焼却している、中央清掃工場と新江東清掃工場

においても搬入前と焼却中の敷地境界線空間線量率を測定したり、排ガスと

焼却後に発生する灰の放射能濃度を測定して公表しているのです。

 

災害廃棄物の広域処理については、放射性物質の拡散につながるとして

現地で処理すべき・広域処理はするべきでないという考え方があります。

確かに現地で処理できるのであれば、それが一番良いでしょう。

しかし今回の現地視察で、それは中々難しいと感じました。

なぜなら、災害廃棄物処理を終了させなければならない期限があることと、

街の復興のためには、まずがれきを取り除くことが先決だからです。

宮城県側のお話をお聞きして、受け入れ先に迷惑をかけないように

配慮していることと、受け入れてくれるのであれば、受け入れ自治体

の要求・要望にはできる限り応えたいという考えであると感じました。

今後は、柏崎市の担当部署の考え方をよく聞いていきたいと思います。