• 2012年04月06日

臨時議会開催~下水道工事現場転落事故訴訟の控訴について~

4月9日10時から臨時議会が開催されます。

一般会計の補正予算と国保事業特別会計の補正予算などと合わせて、

裁判の控訴提起について議案が上程されます。

この訴訟は、2007年、市が発注した下水道工事の現場で、男性が

開口部に転落してその後亡くなったことから、その母親が原告として

市と工事施工事業者に対して損害賠償を求めて提訴したものです。

3月28日に判決の言渡しがあり、被告である市と建設事業者は原告

に対して、1,222万8,577円を支払うことを命じました。

新潟地方裁判所長岡支部の判決によれば、争点は、

①被告柏崎市によるこの道路の管理に瑕疵があったかどうか

②この工事を施工する際の事故防止対策について、被告会社の従業員

に過失があったかどうか

③損害の有無や額

④消滅時効の成否   です。

原告は、この工事現場が、カラオケ店の近くであり、酒に酔った者が

通行することを十分に予測できることから、より十分な安全対策を講じる

べきであると主張。

これに対し被告側(市と建設事業者)は、

バリケードを乗り越えて中に入るという、亡くなった男性の行動が、「通常の

用法に即しない行動」であることから、賠償責任は問われないと主張。

また被告会社も、バリケードを切れ目なくめぐらしていたことから、あえて

バリケードを無視して乗り越える者に対しては、どうすることもできない、

あるいは、損害賠償請求権が時効消滅いていることなどを主張しました。

判決文は次のように述べています。

・亡くなった男性は、誤って工事の開口部に転落したことを前提に検討する。

この現場は夜間も含めて一定程度の歩行者の通行量があったものと考え

られ、工事現場であるこの道路を横断しようとする者が現れることは予測

できた。また、仮に開口部に転落した場合には重大な事故が発生する

可能性が高かった。従って、照明を設置するなどして、開口部の存在

を通行者に十分に認識させるようにするか、高いフェンスを設置したり、

開口部を塞ぐようにするなどの措置を行う必要があった。

・工事現場は工事関係者以外の立ち入りは禁止されている。

従って、工事現場であるこの道路に立ち入って開口部に転落した

男性には相当の落ち度があると言わざるをえない。その過失割合

は75%として過失相殺するのが相当

・損害の填補は1,222万8,577円である

9日の臨時議会は、先の議会運営委員会で委員会付託を省略して、本会議のみで

審査することを提案されましたが、建設企業常任委員会への付託が決定しました。

柏崎市の顧問弁護士にお越しいただき、控訴に係る弁護士の見解をお聞きしながら

審査をすることになっています。

亡くなられた男性とそのご家族には、本当にお気の毒なことだと思います。

このような一人の方が亡くなるという痛ましい事故ですが、控訴するという

判断にはどのような考えがあってのことか、議案審査によって明らかになる

と思います。