- 2012年03月26日
樋口恵子さんの話
新潟県女性財団が行った連続講座に、樋口恵子さんが講演されました。
3月18日のこの講座には、初めての受講者も大勢参加。多分、樋口さんの話
だったら聞きたいと参加した人が多かったのだと思います。
「高齢社会の生き方を考える」というテーマで講演した樋口さんの話は、突き詰めれ
ば、「介護が原因で仕事を辞める人を出してはならない」ということのようです。
現代の介護は、夫婦二人で4人の親(それぞれの親)を看る時代。親がちょっと早め
に「要介護」になれば、子どもは働きざかりだし、90歳くらいまでもてば、4人が
「同時多発介護」だと会場を笑わせました。「介護は嫁がするもの」という感覚が強
いが、4人の親が同時に要介護になれば、嫁は義父母の介護をしたくても、実家の
親の介護もしなければならない。実際に、男性の介護者がどんどん増加していると
言います。
樋口さんが「介護退職者」を出してはならないとういうのは、育児退職と比較して次
の点が異なるからだとしました。
①育児退職と比べて、年齢が高いので、介護が終了しても再就職が困難。
非正規雇用となるのは間違いない
②退職してしまうと、定年まで勤務した場合と比較して、退職金・年金が大きく
違う(少ない) ⇒自分自身の老後が不安になる
③介護で辞めなければならない年代は、給料も比較的高い世代なので税や
社会保険料もしっかりと収めている世代。この世代が辞めることは社会的にも
損失。
なるほど合点がいきますよね。それでは、どのような制度が整えば、辞めずに
済むのか…。 それは「ながら介護」ができるような仕組みだと言います。
例えば、デイサービスの時間をあと一時間延ばすことで、自分が行う介護が
帰宅後部分だけですむようになるなどの例を挙げました。
介護は人間の証明である。
職業として介護をする人たちも、支払われる報酬も含めて、社会的に敬意
が払われなければならない。
親が倒れたら、当然子どもが看るべきだ、とはなかなか言えない。ただし、自分に
生命を与えた者を見送る義務がある。
などなど、大変パワフルに、2時間の講演をなさいました。
冒頭に、年齢もご披露されましたが、とてもそのお年には見えない樋口さんでした。