- 2011年09月17日
定期検査で止まっている原発の再稼働について、市長は…
9月定例議会が開催されています。
三日間行われた一般質問では、福島の原発事故や定期検査で運転が止まった
柏崎刈羽原発の再稼働について、市長の見解を問う質問が出されました。
柏崎刈羽原発は、8月6日に1号機が、8月23日に7号機が定期検査に入りました。
更に、年明けには5・6号機と定期検査に入り、来春は全号機が運転を止めること
になります。(2・3・4号機は停止中)
共産党議員団持田議員の「再稼働はありえないと考えるがどうか?」
という質問に対して、会田柏崎市長は次のように答弁しました。
中越沖地震で止まったものについては、地震に対する設備の健全性と
新耐震設計審査指針に基づく耐震安全性の確認が前提である。
定期検査で止まった号機の再稼働については、安全の確認が大前提。
国はストレステストによる評価を行うとしているが、私は少なくとも、
この福島の原発事故」の収束の見通しと、事故の検証を踏まえた安全基準による
安全確認、原子力防災計画の見直しなどのついて一定のメドを立てる必要がある。
安全性については、国や東京電力からの十分な説明、県の技術委員会の
評価が必要。
その上で、市民の代表である議会をはじめ、様々な機会をとらえて市民の皆さんの
意見をうかがうとともに、周辺自治体の意向、事故によって避難を余儀なく
されている福島県民のみなさんの状況、これらを総合的意に判断したい。
と述べています。
ここで注目したいのは、「福島も原発事故の収束の見通し」「事故によって避難を
余儀なくされている福島県民のみなさんの状況」ということを、総合的に考える
中の項目にきちんと入れていることです。
新潟県には、多くの福島県民の方々が避難してこられています。中でも、ここ柏崎市
には県内でも多くの福島も方々が避難しておられます。
避難の原因が原発事故であるわけですから、原発の稼働については福島の方々の心情
や生活再建の状況を考慮したいという市長の気持ちなのだと思います。
さてもう一つの注目は、「周辺自治体の意向」です。
新潟日報社の調査によれば、県内の自治体首長にアンケートを行った結果、
20の市町村の首長さんが、「東京電力との安全協定を締結する必要がある」と
答えています。
現在の安全協定は、東京電力・新潟県・柏崎市・刈羽村の四者によって結ばれて
いて、情報公開や通報連絡、環境放射線の測定などが定められています。
福島の原発事故によって、あのような事故が発生した場合に、影響は立地自治体
だけに止まらないことを周辺自治体の皆さんも認識するところになりました。
したがって、多くの首長さんたちが、「安全協定を結びたい」と考えるのは当然の
ことで、立地自治体首長としては、原発の安全に関する問題に、周辺自治体の
意向を聞かなければならないと考えたということでしょう。
さて会田市長は、一般質問において「安全審査基準」について見解を問われ、
次のように答えています。
原発は大量の放射性物質という危険性を内包しているもので、いかにその危険性を
顕在化させずに利用していくかが重要だ。
人間が考えて作り運転していくものであるから、100%安全、これで十分とは
言えない。 安全性向上の努力を謙虚に行う態度が必要だ。
しかし耐震設計審査指針を例にあげれば、一部改訂がなされ新知見の取入れは
あったものの、25年を経過してやっと全面見直しがされたということを一つとって
みても、この日進月歩の科学技術の進歩に比べ、非常に対応が遅いという印象は
免れない。
したがって、今後も原子力発電所の安全基準については、科学技術の進歩・新たな
知見を踏まえて、迅速かつ的確に適切に。これらを反映することなど、
常に向上させていく必要がある。
そのために、安全規制体制の再構築も併せて行う必要がある。
と述べています。
今始まったストレステストについては、「柏崎刈羽原発の閉鎖を訴える科学者・
技術者の会」が次の趣旨の見解を出しています。
①柏崎刈羽原発は即時停止すべきであり、運転再開は福島原発事故の原因
究明を踏まえて、※安全基準を改正してこれに基づくべき。
②今回のストレステストには、福島原発1号機が地震の揺れそのものによって
配管破断と冷却材が喪失する事故が発生した可能性や、原発の老朽化という視点
が抜けている。内容的にも極めて不十分。
※安全設計審査指針、安全評価審査指針、耐震設計審査指針など
たしかに、現在の安全基準が誤りであることを、原子力安全委員会の斑目委員長
が認めているわけですから。その基準を改正しないままに、ストレステストを
もって「安全かどうか」に結論を出すということはおかしいですよね。
福島原発の事故究明⇒ 安全基準の見直し⇒ 必要に応じて耐震補強工事…
などの手続きをちゃんととれば、いつ動かすことができるかどうかわからない…
だからストレステストで(手早く)結論を出してしまおう!…
ということのように見えなくはないでしょうか?