• 2011年07月24日

県の原子力安全対策課長の話を聞く

7月22日(金)、新潟県防災局原子力安全対策課長の講演を聞きました。

私は自治労の自体体議員連合という組織の会員で、今期から新潟県自体体議員連合

の会長を務めることになりました。

この日は自治体議員連合の総会で、併せて研修会を実施することに。

3.11の福島原子力発電所の事故は、原発立地地域だけの被害におさまらず、

かなりの広い地域に被害が及ぶことを明らかにしました。

このことを踏まえて新潟県は、地域防災計画の見直しに着手しています。

県防災会議原子力防災部会において検討を始めたのです。

このようなことから、私たち県下それぞれの自治体で活動する自治体議員連合として

このような県の動きや考え方を知っておく必要があると考え、

県原子力安全対策課に講演を依頼したのです。

担当課長からは、大きくは、①福島原発事故と現行法の想定の違い、②原子力災害・

原子力防災とは、という内容でお話いただきました。

新潟県が地域防災計画(原子力災害対策編)を見直す必要があると考えた大きな理由

が、現行の防災計画と(今回の)事態とを見比べた時、大きな乖離があると判断した

からです。

その乖離は、「時間」「規模」「制度」という項目全てで乖離があるとしています。

非常に分かりやすいのは、現行の防災計画に沿って行なっている原子力防災訓練と

福島原発事故の実態を時系列に並べてみると、実際の方がとても速く事態が進むこと

を示したものです。

そのことを示してみます。

防災訓練では、「安全装置作動失敗により10条通報」するのは2時間後としている

のに対して、福島原発事故では56分後には「全交流電源喪失で10条通報」する事態

となっている

・「原子力緊急事態宣言」は、防災訓練では5時間後福島原発事故では4時間17分

・「避難・屋内退避指示」は、防災訓練では6時間後、福島原発事故でも6時間4分後

と、またま時間は一致しているが、

・「ベント」を行うのは、防災訓練20時間後、福島原発事故19時間41分後

訓練と現実の最も大きな違いは、ベントという大量の放射性物質を放出させるタイミング

が、防災訓練では避難が終了した後であり、福島原発事故ではベント後も「20キロ圏に

避難指示」「20~30キロ圏に屋内退避指示」をしているということだ と述べました。

しかも、防災訓練では「22時間後に放射性物質の放出が停止する」としています。

このように、実際の事故では事態が劇的に悪化し、その後は長期化するのです。

このような実態があるわけですから、防災計画を見直すのは当然だと思いますし、

そのことに県が着手したのは、大変心強いことです。

しかし国レベルでも、これから様々な見直しをしていくことになる筈です。

国の見直しの前に、県レベルで先に見直しを進めることで、手戻りににならないかが

ちょっと心配です。 これに対して担当課長は、

 「それが悩ましい。しかし何もしない訳にはいかない。

従って、“避難計画”という位置づけで考えている。

このような計画で良いかということをきちんと国に対して示しておく必要がある」 

と述べました。

「原子力防災対策を重点的に充実すべき地域の範囲(EPZ)」を

これまでの10kmから、例えば30kmに拡大した場合、そこに在住している県民は

福島県で14万人・新潟県を80万人にもなると言います。

それだけの人々を避難させるためには、避難対象者の把握をはじめ避難体制の整備

避難施設の確保など、気の遠くなるのような課題があります。

それにしても、このような見直しの動きは、新潟県くらいだそうです。

国の見直しを待っている状況だとか… 。

なぜか…??  既に原発を立地して原発とともに生きてきた自治体は、

防災計画の見直しをするということにも、気を使っているということなんでしょうか?

しかし、数十万人の県民を避難させる可能性があるという事故が起こる可能性が

あるということ自体が、それでいいのか… という気がします。